【一般無料】母と子の距離感(健康基礎講座)


・成長に合わせた距離感が重要

・もし母子分離が起こると・・・

・母親の世界に守れている子ども

子どもが心も体も健やかに成長する社会は良い社会だと思います。
そのような社会は精神性も高く、優しさと厳しさの両面を持って、子どもを育てています。

生命には、まだ幼い赤ちゃんや自分より弱い存在を守ろうとする本能が備わっています。
人間も哺乳動物も、赤ちゃんは体の中で頭を占める割合が大きく、少しふくよかで丸みがあるのが特徴的ですね。
それを見ると、可愛らしいという愛情がわき、お世話をしたい、守ってあげたいという欲求が溢れてきます。

幼い子どもが無邪気に遊ぶ姿を見ると、自然と表情が和らぎ、心も和みます。
大人が抱えている日常の心配事など一掃するほどのパワーがあります。

もし、まだ幼い子どもが母親と離れ離れになったら、どうでしょうか。

お母さんは我が子が心配でたまらなくなります。赤ちゃんの方は、不安や恐怖に襲われます。
まだ親子が抱っこしたり密着する距離で一緒に過ごす時期に引き離されると、心に深い傷を負います。

子どもはお母さんがいなくなった事に絶望し、孤独感を感じ、この世界を否定的に見るようになってしまいます。
傷ついた子どもの心は、徐々に変化していきます。

母親と引き離されると、子どもは泣き叫んで母親が戻ってくることを要求します。
数日くらい経つと静かになることもありますが、母親を求める気持ちに変わりはありません。

しかし、この希望も徐々に失われていき、子どもの心は希望と絶望の間を行ったり来たりするようになります。
この間も母親が戻らないと、子どもは母親のことを忘れたようになり、
母親と再会しても無関心で、もう母親と認識する事すら無くなってしまうのです。

動物は生まれた後に母子が離れてしまうと、その後再会しても親子と認識しなくなりますが、
人間も自立するより早い段階で母と子が長期間離れると、同じような事が起こります。

子どもの自立は成長しながら徐々に進んでいきます。

12歳前後までは、子どもは母子の世界の中にいるので、外の世界からの刺激よりも
母親から影響を大きく受ける時期です。

子どもが色々な人、物、現象などに対して、喜んだり、笑ったり、泣いたり、怒ったりするのは
母親の気持ちに大きく影響を受けていて、もし母親がいなければ、外の世界に
対応することが難しくなってしまうのです。

幼い子がよその人に「お腹が空いたのかな?」などと聞かれると、
多くの子は、まずお母さんの顔を見ます。

次に母親が同じように「お腹が空いたの?」と聞くと、子どもは返事をします。

この時、子どもの心は次のように働いています。
子どもは、よその人に話しかけられた事について、言葉の意味としては理解しているが
もしかすると、他の意味もあるのではないかと思うのです。

「お腹が空いたのかな?」をを聞こえた意味の通りに受け入れて良いのかどうか
母親の表情を見て確認し、母親の口から同じ言葉がでると、「やっぱり自分が聞いた通りの意味だったんだ」と確認して
「はい」「いいえ」のように答えます。

子どもは母子の世界を安全と認識していて、母親を通して外の世界に接しています。
他の人から込み入った話を聞かされると、子どもはすぐに安全な場所へ戻り、母親を通してでなければ心を開こうとしません。

「お腹が空いたのかな?」と聞かれて母親の顔を見るしぐさをした時に
もし母親が「ほら、黙っていないでちゃんと答えなさい。」と突き放してしまうと、
子どもは困ってしまって答えることが出来ません。

この事は両親とも理解して、子どもの成長を助けながら見守る必要があります。

子どもの心の動きは、成長するにつれて少なくなっていき、だんだんと自分一人で
外の世界からの働きかけに反応するようになります。
そうして12歳前後になると、それまで守られていた母子の安全な世界の殻を破って、
外の世界へ出ていきます。

スマホやパソコンが日常のコミュニケーションツールとして欠かすことが出来ない時代ですが、
親子の信頼関係は一緒に時間を過ごし、触れ合いがあってこそ育っていきます。
また、それは母親にとっても幸せな事で、一層深い愛情が子どもに注がれ
喜びをもって子育てに励む原動力になっていきます。

山本和佳