【一般無料】呼吸と日本文化(健康基礎講座)


・ 呼吸で○○をコントロールする

・ 体の力みをとる○○

・ 衣服も呼吸と繋がっていた

日本人は非常に精神性の高い民族でした。それは、この呼吸の力とも関係があります。
この国には呼吸の文化がしっかりと根付いていました。

深く呼吸をすれば、精神も体もブレることなく安定する。
よく「お腹から呼吸をする」と言われますが、このお腹とは丹田を指しています。

丹田とは、おへその2センチ下の部位を指し、「体の重心」と言われる場所で、
丹田に意識を集中することで心を落ち着かせることができます。

また、丹田に力を入れても他の部分の力みが抜けて行きます。
体の中心軸を作ることで、力みが無くなっていくのです。

昔は「肚(はら)ができている」「肚がないから駄目だ」と言った言葉が
人物を評価するときに使われていました。

それは、お腹で呼吸ができているかを意味しています。
息を長く吐き続けることは素晴らしいとされていたのです。

呼吸は吸うよりも、まず吐く事が大事です。しっかり吐ききれば自然と深く息を吸うことができます。
20秒以上息を吐き続けると、ストレスが激減することが科学的な実験からも分かっています。

日本人の精神性は軸のある体によって支えられていました。
和服はそのような体を作るために上手く出来ていたのです。

男性の場合、腰の後ろを袴で支えて、丹田の位置で帯を結びます。
すると丹田に意識が向きやすい。つまり力が入りやすく腰が安定してブレないので、
帯を締めることで体の中心を作り出していました。

中心軸のしっかりした体は感情もコントロールしていました。
痛い、辛いからといって無闇にわめき散らすこともない。
己の道を全うする上でとても重要な技術ではないでしょうか。

日本では、武道の稽古の中で背筋を伸ばすことをとても重要なこととされてきました。
それは腰骨を立てて、丹田に力を入れることを体作りの基盤としていたのです。

しかし、戦後アメリカのGHQが武道や茶道を禁止してしまった。
日本人の精神性を育んだ大変優れた訓練方法が奪われてしまったのです。

その後、先人の尽力によって解禁されましたが、
呼吸を取り入れた教育は学校の授業から排除されてしまいました。

明治時代に来日したドイツの医師ベルツは、著書で日本人独自の気質について、次のように語っています。

日本人は、家事に際しても「比較的静寂」で、泣き叫んだりわめき散らしたりせず、
休みなく音もなく、水を運び家屋を取り壊す。
「全く平然として猛烈な火勢に耐えているのに自分は驚嘆した」

(「ベルツの日記」より)

東日本大震災の後も、避難所で食糧を受け取るために被災者が整然と列に並ぶ光景は、
海外の人にとっては驚きだったといいます。

日本人にとってはそれがごく自然のことですが、海外では非常時に食糧が不足すると
それを巡って暴動が起きる地域もあります。

今や丹田を意識することがほとんどなく無くなりましたが、、
やはり日本人のDNAのどこかに精神は息づいているのだと思います。

ならば、その精神を育む体を作らなければなりません。

今、若い世代では、呼吸を意識した躾をされた人はほとんどいないと思います。
学校では教えてくれないので、体力的にも精神的にも丈夫に育つ機会が奪われています。

それどころか、真逆にどんどん進んでいる。
例えば、ほとんどの家庭では日常的にゲームをするようになりましたが、
ゲームをしている時、呼吸はとても浅くイライラしています。

大事な成長期に運動不足で呼吸も体得できない。

これはとても不幸なことだと思います。
食と同じですが、気づいて素直に実行する人は極めて少数。
教育から取り上げられれば、水準が著しく下がってしまうのは避けられません。

日本古来の精神性、それは自然に敬意を払い、自分もその一部として生きる姿。

精神性を取り戻すには、その器である体を取り戻すことは必須です。
丹田を軸とした呼吸は、高い精神性を持つ体の大切な要素だと思います。

山本 和佳